佐藤の音楽を語る上で欠かせないのが、彼が持つ多角的な視点だ。視覚的な美意識と聴覚的なアプローチが融合した独自の制作スタイルは、他の作曲家とは明らかに一線を画している。楽曲全体を一枚の絵画、あるいは建築物として捉える俯瞰的な視点が、彼のスコアに類まれな構造美を与えているのだ。
メロディラインの美しさだけに頼らず、音の配置、残響の長さ、低音域の空気感に至るまで、キャンバスに絵の具を置くように音を配置していく。だからこそ、彼の音楽は映画という映像作品と融合した時に恐ろしいほどのシナジーを生み出す。映像のトリミングや色調の変化に合わせて、音のテクスチャーを自在に変容させる感性は、デザイン的思考の賜物といえるだろう。