経済や安全保障以上に、一般市民の感情を決定的に傷つけたのが文化領域における摩擦です。中国限韓令の真相と現在を追うと、中国当局が発出したとされる「韓流制限令(限韓令)」は、公式な行政文書としては一度も公開されたことがありません。しかし実態として、韓国ドラマのテレビ放映停止、K-POPアーティストの大規模スタジアム公演の不許可、韓国産オンラインゲームへの版号(配信認可)付与停止といった見えない締め付けが徹底されてきました。
2026年現在、オンライン配信プラットフォームでの一部韓国映画・ドラマの配信や、小規模なファンミーティングの解禁など、限定的な緩和は見られるものの、2010年代前半のような大規模な韓流ブームの再燃には程遠い状態です。
さらに激化したのが、中国韓国の文化摩擦まとめとして語られる起源主張の衝突です。
- キムチと泡菜(パオツァイ)論争:中国の漬物「泡菜」が国際標準化機構(ISO)の規格に認定された際、中国国営メディアが「中国のキムチ産業が国際標準になった」と報じたことで、韓国世論が猛反発。
- 韓服(ハンボク)と漢服(ハンフー)論争:北京冬季五輪の開会式で中国側が少数民族(朝鮮族)の代表として韓服姿の女性を登場させたことに対し、韓国側で「文化侵奪(歴史の横取り)」との批判が爆発。
- 歴史認識の対立:古代史における中国韓国歴史問題の経緯として、中国側がかつて進めた「東北工程(高句麗や渤海の歴史を中国史の一部とする研究プロジェクト)」以来の歴史帰属を巡る警戒感が根強く残存。
これらの摩擦は、単なる文化の違いを超え、「国家のアイデンティティと主権の侵害」という感情論へ直結しています。