本作が放送業界や視聴者に与えた衝撃の大きさは、放送終了後の栄誉を見れば一目瞭然です。テレビ界で最も権威ある賞の一つとされる第49回ギャラクシー賞テレビ部門大賞をはじめ、数々の賞を総なめにしました。全151回の期間平均視聴率は関東で19.1%、関西で19.6%を記録。特に物語が佳境に入った後半には関西地区で連日20%を大きく突破するなど、単なる数字以上の社会的熱狂を生み出しました。
作品を屋台骨として支えたのは、映画『ジョゼと虎と魚たち』やドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』でも知られる渡辺あやの脚本です。従来の朝ドラにありがちだった「過剰に清純で健気なヒロイン」「都合よく善人化される周囲の人間たち」というお約束を完全に排除。岸和田のだんじり祭りに象徴される荒々しい土着性、戦中・戦後の過酷な物資不足や人間のエゴイズム、そして商売への冷徹な執着を、生々しくかつユーモアたっぷりに描ききりました。
さらに、オープニングを飾る椎名林檎の主題歌「カーネーション」の存在も見逃せません。生きることの痛みと慈しみを管弦楽の豊かな響きに乗せて歌い上げた名曲は、岸和田の町を全力疾走する糸子の姿と奇跡的な調和を見せ、毎朝の視聴体験を極上の芸術へと昇華させました。