『下町ロケット』の代名詞とも言えるのが、主人公たちの前に立ちはだかる冷酷非道なライバルや取引先、いわゆる「悪役」たちの存在感です。緻密な策略と保身、利権のために佃製作所を追い詰めるヒール役の存在こそが、逆転劇のカタルシスを極限まで高める推進力となりました。
2015年放送の第1シリーズ後半「ガウディ編」では、心臓外科用の人工弁「ガウディ」の開発を巡り、新興医療機器メーカー「サヤマ製作所」の社長・椎名直之役として小泉孝太郎が登場しました。それまでの爽やかな好青年イメージを覆す、冷徹かつ傲慢な演技は絶大なインパクトを与え、俳優としての新境地を開拓したと絶賛されました。また、資金難や治験の壁に阻まれながらも子供たちの未来のために人工弁開発に挑む医師・一村隼人役の今田耕司など、異色のキャスティングが感動のドラマを構築しました。
2018年放送の第2シリーズ「ゴースト編」「ヤタガラス編」では、農業用トラクターの自動運転技術を巡る戦いが勃発。佃製作所と業務提携を結びながらも裏切りへと転じるベンチャー企業「ギアゴースト」の社長・伊丹大役を尾上菊之助が、天才エンジニアの島津裕役をイモトアヤコが熱演しました。
さらに、小型エンジンメーカー「ダイダロス」の社長として佃製作所と帝国重工の双方に復讐を誓う重田登志行役をフリーアナウンサーの古舘伊知郎が担当。機関銃のような長台詞と執念深さを滲ませた怪演は、放送当時SNS上でも「恐ろしすぎる」「迫真の演技」と大きな話題を呼びました。加えて、帝国重工の次期社長候補として財前を失脚させようと目論む取締役・的場俊一役の神田正輝が放つ重厚なプレッシャーも、ヤタガラス編の緊張感を極限まで引き上げました。