北原ミレイ『石狩挽歌』に秘めた阿久悠の真実|名曲誕生と現在の姿

北原ミレイ『石狩挽歌』に秘めた阿久悠の真実|名曲誕生と現在の姿

北原ミレイ『石狩挽歌』に秘めた阿久悠の真実|名曲誕生と現在の姿にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

昭和歌謡史における『石狩挽歌』の登場は、当時の音楽業界に強烈な衝撃を与えました。1975年(昭和50年)6月25日にリリースされた本作は、それまでの演歌や歌謡曲の定型であった「男女の情愛」や「未練」を歌う枠組みを根底から覆し、土地の歴史とそこに生きた人間の宿命を重厚に描き出したからです。

作詞を手掛けた阿久悠氏は、当時すでに数々のヒット曲を連発するトップ作詞家でしたが、北海道の日本海沿岸を取材で訪れた際、かつて「鰊(ニシン)景気」で莫大な富を生み出しながらも、ニシンの群来(くき)が途絶えて荒涼とした廃墟のようになった街や番屋の姿に強い衝撃を受けました。高度経済成長に沸く日本列島の中で、急速に忘れ去られていく「かつての熱狂と現在の静寂」の対比こそが、阿久氏の創作意欲に火をつけたのです。

この詞を受け取った作曲家の浜圭介氏は、原稿用紙に並ぶ情念と圧倒的な情景描写に圧倒され、「生半可なメロディでは言葉に負けてしまう」と自らを極限まで追い込んで作曲に挑んだと回想しています。短調のドラマティックな旋律の中に、荒波が打ち寄せる日本海のうねりと、人間のやり場のない叫びを封じ込めることに成功しました。

阿久悠氏は本作で見事に第17回日本レコード大賞・作詩賞を受賞。北原ミレイさんの低音でハスキーなボーカルが吹き込まれたことで、単なるご当地ソングではない、人間の根源的な孤独を抉り出す名曲が完成しました。

井上 凛
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井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。