結論から言えば、畳にベッドを置く行為そのものがNGなのではありません。問題なのは、畳本来の呼吸作用を無視した設置方法をとってしまう点にあります。ネット上で散見される畳ベッド後悔の理由を検証すると、その大半は「湿気の逃げ場を塞いだことによる深部カビ」と「細い脚部に全体重が集中したことによる畳床の圧壊」という2点に集約されます。
天然のい草で作られた畳表と、藁やインシュレーションボードで構成される畳床は、部屋全体の湿度をコントロールする天然の調湿材として機能しています。一般的な6畳の和室で、畳全体が吸収・放出できる水分量は約3リットルにも達します。しかし、就寝中の人間は1晩でコップ1杯分(約200ml)の寝汗を排出しており、マットレス下部に湿気が滞留しやすい環境が作られると、畳は許容量を超える水分を抱え込み続けます。
湿度が70%以上、温度が20〜30℃の環境が続くと、畳内部でカビ菌糸が一気に増殖し、それを餌とするチリダニが爆発的に発生します。ベッドを何年も動かさずに放置し、退去時や模様替えでベッドフレームを退けた瞬間に「黒カビの絨毯」と化した畳を目の当たりにして絶望する事故が後を絶ちません。噂される「畳にベッドは絶対NG」という説は、こうした事後処理の悲惨さから生じた現場の警告なのです。