もし真夜中に突然ふくらはぎが激痛に襲われたら、慌てて力を入れて揉んではいけない。無理な揉みほぐしは筋線維を微細断裂させ、翌日以降も痛みを残す「肉離れ」に移行する危険がある。
現場の整体師や理学療法士が推奨する足のつり対処法の鉄則は、「足の親指を掴み、ゆっくりとすね側へ引き上げる持続ストレッチ」だ。膝を軽く伸ばした状態で、つま先を手前に引き寄せることで、異常収縮を起こしているふくらはぎの筋肉を安全に伸展させることができる。壁に足の裏を押し当てる方法も有効だ。痛みが引いた後は、冷やすのではなく蒸しタオルやレッグウォーマーで優しく温め、血流の再開を促すことが肝要である。
また、足のつりに悩む人々の間で常備薬として知られるのが、漢方薬の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」だ。芍薬甘草湯の効果は非常にシャープで、芍薬に含まれるペオニフロリンと甘草に含まれるグリチルリチンが協調して働き、筋肉の急激な痙攣を数分から十数分程度で鎮静化させる。
ただし、ここにも医療的な注意点がある。芍薬甘草湯はあくまで「発作時の頓服(レスキュー薬)」であり、漫然と毎日常用する予防薬ではない。主成分である甘草を長期にわたって過剰摂取すると、偽アルドステロン症による血圧上昇やむくみ、低カリウム血症を招く副作用リスクがある。「コーヒーを飲むから漢方を飲んでおけば良い」という本末転倒な付き合い方は厳に慎まなければならない。