日本国内で流通するラフランスの約6割から7割を占める山形県産をはじめとする主要産地では、山形県産ラフランスの収穫時期は10月上旬から中旬頃に行われます。しかし、収穫したばかりの果実はデンプンが多く果肉もガチガチで、そのままでは渋みもあり食べられません。
産地では収穫後すぐに1〜3℃の冷蔵庫で約2週間以上保管する「予冷(プレクーリング)」という工程を挟みます。この低温処理によって果実が「冬が来た」と錯覚し、その後の常温環境で一気にデンプンが糖分へと分解され、エチレンの生成が活発化する仕組みです。市場に出回るラフランスの旬の時期が10月下旬から12月中旬にかけて集中するのは、この緻密な予冷期間が計算されているためです。
一般家庭で発生する「洋梨の追熟失敗」の約8割は、温度管理の誤りに起因しています。買ってすぐに冷蔵庫へ入れてしまうと、エチレンの生成が阻害されて追熟がストップし、果肉がゴムのように硬いまま水分が抜けてしまう「低温障害(追熟不全)」に陥ります。