ネット上の簡易的なまとめ記事や一部のカジュアルな言及では、「ロマンチシズム=シーブリーズのタイアップに合わせたキラキラした青春恋愛ソング」として短絡的に括られてしまうケースが散見されます。しかし、これは楽曲の表層しか見ていない重大な誤解です。
資生堂のタイアップという性質上、爽やかさや疾走感といったコマーシャルな要請を満たしているのは事実です。しかし、大森元貴というソングライターの本質は、商業的な制約を逆手に取り、その内側に「人間のエゴイズムと不条理の肯定」という極めて毒性の強い、しかし本質的なメッセージを密輸することにあります。
従来の恋愛ソングの多くは「君のためにすべてを捧げる」といった自己犠牲や「運命の二人」というファンタジーを美化しがちでした。しかし「ロマンチシズム」はそうした甘美な嘘を暴きます。「人を好きになるのも、結局は自分が幸せになりたいというエゴから始まっているのではないか?」という身も蓋もない真実を直視させ、その上で「そのエゴも含めて、愛おしい人間じゃないか」と微笑みかけるのです。この底流にあるリアリズムに気づくかどうかが、本作の味わいを決定づける境界線となっています。
【プロの結論】対人心理学の視点から紐解く「愛の条件」と向き合い方
社会学や心理学の見地から本作を読み解くと、ドイツの社会心理学者エーリッヒ・フロムが著書『愛するということ』で説いた「自己愛と他者愛の不可分性」との明確な共鳴が見出せます。フロムは、他者を真に愛するためには、まず自分自身を肯定的に愛する能力が不可欠であると論じました。自分を愛せない者は他者を自分の欠落を埋める道具として消費してしまい、やがて共依存や支配関係に陥ってしまうからです。
「ロマンチシズム」が放つメッセージは、まさにこの心理的バウンダリー(境界線)の確立を促しています。「己を愛する」という基盤があってこそ、他者という異なる宇宙との対話が成立する。他者からの承認に飢え、SNS等で自己評価を削り合いがちな現代において、この楽曲は「健全な愛の作法」を教える極めて優れた処方箋となっています。
【向いているシチュエーション・聴くべき人】
・人間関係で自分を責めがちで、「もっと優しくあらねば」と無理をしている人
・完璧主義に陥り、他人の欠点や自分自身のミスに苛立ちを覚えてしまう時
・新しい出会いや環境の変化を前に、対等で前向きな人間関係を築きたいタイミング
【おすすめできないシチュエーション】
・徹底的に悲愴感に浸り、暗闇の底でただ静かに涙を流したい時(楽曲のポジティブなエネルギーとビート感が過剰に感じられる場合があります)