世界三大映画祭を制覇してきた是枝裕和監督と、カンヌ国際映画祭男優賞をはじめ世界にその名を轟かせる役所広司。この二人の怪物がついに同じ現場で火花を散らす。日本映画界にとって、これ以上の事件はない。
是枝監督が長年温めてきたというプロットは、静謐な日常が徐々に崩壊していく緻密なサスペンスドラマ。役所が演じるのは、地方都市で古びた時計店を営みながら、ある秘匿された過去を抱える孤独な男だ。ある日届いた差出人不明の小包と、そこに同封されていた真鍮の鈴が、男の平穏を容赦なく引き裂いていく。
「役所さんの瞳に宿る底知れない影と、是枝監督の冷徹かつ温もりのある演出が奇跡的な緊張感を生んでいる」。制作スタッフの一人は興奮冷めやらぬ様子でそう証言した。妥協を許さない二人の巨匠が組み上げようとしているのは、従来の邦画サスペンスの概念を塗り替える圧倒的な強度を持った映像世界にほかならない。