臨床現場において、この病的な執着はどう定義されているのか。世界的権威として知られる法精神医学者のJ・リード・メロイは、犯罪心理学の領域においてストーカーの深層心理を精緻に体系化した先駆者である。メロイの研究によれば、加害者の多くは深刻な「自己愛の傷つき」を抱えており、他者との健全な愛着形成が著しく破綻している。
彼らにとって、相手からの別れ話や拒絶のサインは、単なる失恋を意味しない。自己の存在価値が根底から否定されたと感じる致命的な打撃となる。その屈辱に耐えきれない加害者は、無意識の防衛機制を働かせ、悲しみを「怒り」や「相手へのコントロール要求」へとすり替える。拒絶されればされるほど追跡を強めるのは、相手をつなぎ止めることだけが、崩壊しかけた自我を保つ唯一の命綱になってしまっているからである。