1990年代末、ソニー・ミュージックエンタテインメントを筆頭とする日本の音楽業界はCDバブルの頂点を極めていた。L'Arc〜en〜Cielはシングル3枚同時リリースや、10万人以上を動員した大規模野外ツアー「Grand Cross Tour」など、前代未聞のスケールでメガヒットを連発。その中心にいたHYDEの肩には、想像を絶する重圧と過密スケジュールがのしかかっていた。
しかし、商業的な巨大狂騒の渦中にあっても、彼はクリエイティブの主導権を決して手放さなかった。楽曲の細部、ジャケットのデザイン、照明の一筋に至るまで徹底的なこだわりを貫き通した。美しさを単なるプロモーションの道具として消費させることを拒み、自らの表現の武器としてコントロールし続けた知性とタフネスこそが、彼を一過性のアイドルで終わらせなかった最大の要因である。