昭和の木造長屋が密集する新宿ゴールデン街。わずか数坪の極小空間がひしめくこのエリアは、いまや世界中のバックパッカーやカルチャーフリークが引きも切らず押し寄せる特異な文化発信地となった。飲食・ナイトタイムエコノミー産業が都市の国際競争力を左右する時代にあって、ゴールデン街が放つ土着的なエネルギーは唯一無二の求心力を持っている。
かつて文壇の重鎮や映画監督が議論を交わしたカウンターでは、国籍も言語も異なる旅人同士が肩を寄せ合い、乾杯の声を響かせる。チャージ制のシステムや独自のハウスルールを尊重しながら、誰もが即興でコミュニティの一員となれる寛容さがここにはある。
近代的な再開発の波が押し寄せる新宿において、こうした泥臭くも温かい横丁文化が息づいていること。それこそが、この街のナイトライフを重層的で魅力的なものにしている最大の要因だ。