春のフレンチを語る上で絶対に外せない王道食材、それがホワイトアスパラガスだ。太く真っ白な茎にナイフを入れれば、瑞々しい水分が溢れ出す。だが、伝統的なオランデーズソースを添えるだけの時代は終わった。
「2026年のペアリングは、対比ではなく“同調と意外性”にあります」。都内の星付き店を率いるグランシェフはそう語る。例えば、ほのかな苦味を持つアスパラガスに合わせるのは、発酵させた蕗の薹(ふきのとう)のオイルと、ローストしたヘーゼルナッツの泡。大地のほろ苦さとナッツの香ばしさが重なり、奥底に眠る野菜の甘みが爆発的に引き出される。
さらに、蛤(ハマグリ)や浅利といった貝類の濃厚な出汁をエスプーマにし、生の山菜と組み合わせる手法もトレンドの最前線にある。ミネラル感と海の旨味がアスパラガスの水分と溶け合い、口の中で完成するソースとなる。プロが実践する「温度差(温かい野菜×冷たいジュレ)」や「テクスチャーの衝突(サクサクしたクランブル×とろけるピュレ)」の技法は、自宅の食卓でも応用可能な発想の宝庫だ。