角界の権力構造を根底から揺るがした最大の事件が、2010年の理事選における「貴乃花光司の乱」だ。一門の事前調整によって無投票で理事が決まる旧弊を打破すべく、貴乃花は二所ノ関一門を離脱して出馬を強行。若手親方衆の支持を集めて当選を果たし、相撲界に激震を走らせた。
折しも文部科学省からは、不祥事続きの協会に対して抜本的なガバナンス改革と公益法人化への適合が突きつけられていた。外部有識者による横綱審議委員会の提言や社会規範との整合性を巡り、保守派と改革派の対立は激化。貴乃花による一連の告発劇と最終的な角界追放劇は、伝統的な一門秩序の崩壊と、コンプライアンス最優先の近代的組織への強制的脱皮という、巨大な代償を伴う転換点となった。