2017年からスタートした修復プロジェクトは、総工費8,000万ポンド超を投じた世紀の大工事となりました。足場に覆われていた長い年月を終え、現在のロンドン時計塔はヴィクトリア朝当時の鮮やかな姿を完全に取り戻しています。
最も大きな視覚的変化は、時計の針や装飾枠のカラーリングです。長年の排気ガスや煤煙で「黒」だと思い込まれていた針の色は、綿密な塗膜調査により本来の「プルシアン・ブルー(濃紺)」と金箔装飾であったことが判明し、創建当時の華麗な色彩へと復元されました。
さらに、改修期間中は一時的に休止していたビッグベンの鐘の音も完全に復活。15分ごとに鳴り響く「ウェストミンスターの鐘」(日本の学校チャイムの原曲)と、毎正時を告げる重低音の大時鐘が、2026年のロンドンの空に力強く響き渡っています。エネルギー効率の向上や最新鋭の消防・空調設備も組み込まれ、次の100年を見据えた保全体制が確立されました。