日本の酒造技術の最高峰を競う「全国新酒鑑評会」において、宝剣酒造は幾度となく金賞を受賞し、その実力を公に証明してきた。しかし、蔵元が真に重きを置いているのは、鑑評会用の特別な酒ではなく、市場に流通する市販酒の圧倒的なクオリティである。
日本酒造組合中央会が発表する近年の動向を見ても、国内の清酒醸造業は「量から質へ」、そして「地域の個性を際立たせるクラフト精神」へと大きく舵を切っている。その潮流の遥か先を走っていたのが宝剣だ。規模を追わず、自らの手が届く範囲で米と水に魂を注ぎ込む姿勢は、地方の小さな酒蔵がいかにして全国区のブランドへと飛躍できるかを示す希望の光となっている。