岩倉家を支えた家族たちのドラマもまた、本作の骨格をなす重要な要素だった。舞の兄・悠人を演じた横山裕は、現実主義者で家族と反発しながらも、根底にある不器用な愛情を見事に表現。投資家として葛藤する姿を人間味たっぷりに演じ切り、俳優としての評価を一段と高めた。
そして、町工場の社長として娘の夢を応援し続けた父・浩太役の高橋克典と、家族の苦難を背負いながら工場を守り抜いた母・めぐみ役の永作博美。ベテラン勢が見せた重厚で真に迫る芝居は、物語に圧倒的な現実味と温もりを与えた。とりわけ父の突然の訃報から母娘で会社を立て直す後半の怒涛の展開は、彼らの名演なくしては語れない。