愛らしいレッサーパンダが絶滅危惧種に指定されたのは一体なぜなのか。その最大の理由は、人間活動の急激な拡大によって野生の生息環境が不可逆的な破壊に晒され、過去3世代(約18〜20年)の間で個体数が50%以上も減少したと推定されている事実にあります。
IUCNの公表データおよび保全生物学の研究チームによる最新の推計によると、現在地球上に生き残っている野生のレッサーパンダの総数はおよそ1万頭未満、成熟した繁殖可能な個体に限れば2,500頭から5,000頭前後にすぎないと考えられています。生息域はネパール、インド北東部、ブータン、ミャンマー北部、中国西南部(四川省、雲南省、チベット自治区)と国境をまたいで広範囲に分布しているように見えますが、実際にはその生息適地は標高2,200〜4,800メートルの山岳森林地帯という極めて限られた標高帯に狭められています。
かつては広大な温帯針広混交林で自由に移動し、遺伝子を交配させていた個体群が、今や人間が切り開いた農地、道路、送電網、放牧地によって無数に切り裂かれています。孤立した狭い森に取り残されたグループは、遺伝的多様性を急速に失い、一度の病気の流行や自然災害で地域絶滅を起こす脆弱な状態に追い込まれました。私たちが動物園で見かける姿は、野生下における過酷なサバイバルと種の存続危機のほんの一面にすぎません。