「書いて覚える」こと自体が無駄なわけではない。問題は「作業」になってしまう点だ。東京の認知科学研究グループが発表したデータによると、手だけを機械的に動かす書写作業中、脳の記憶をつかさどる海馬の活動レベルは著しく低下しているという。
本当に記憶を定着させるのは、書いている瞬間ではなく「これ何だっけ?」と脳に負荷をかけて思い出す瞬間(アクティブリコール)だ。10回連続で同じ文字を書くよりも、時間を置いて「思い出しながら1回書く」作業を3日間に分けて行うほうが、記憶の定着率は約3倍に跳ね上がる。単純作業からの脱却こそが、現代の学習者における第一歩となる。