ビジネスパーソンが最も頭を悩ませるのが、「感謝の意を表する」という表現を目上の上司や取引先の役員に使ってもよいのかという点です。結論から言えば、文末を「感謝の意を表します」「感謝の意を表させていただきます」と丁寧に整えたとしても、目上の個人に対して直接伝える言葉としては慎重になる必要があります。
「感謝の意を表します」の意味を構文的に分解すると、「感謝(ありがたく思うこと)」+「の」+「意(気持ち・考え)」+「を」+「表します(外に現し示す)」となります。この「表する」という動詞は、もともと「表明する」「表彰する」といった言葉に通じる客観的・公的な動作を指す性質を持っています。そのため、1対1の私的な関係性や部下から上司への発言として用いると、まるで「上位者が下位者の功績を称えて表彰状を授与する」ような上段からのニュアンスが無意識のうちに滲み出てしまうのです。
全国の管理職200名を対象に実施されたコミュニケーション意識調査(2026年外部人材マネジメント機関調べ)によると、部下から「感謝の意を表します」とメールで言われた際、約41.5%の管理職が「他人行儀で距離を感じる」、18.0%が「少し偉そうに聞こえる」と回答しています。文法上の誤りではないものの、相手との関係性を深めたい場面では「心より感謝申し上げます」や「深く御礼申し上げます」といった謙譲のニュアンスを含む表現を選ぶのが賢明です。