王位継承戦においてクラピカの対峙する最大の宿敵、ツェリードニヒ。彼が所有するコレクションルームの描写には、読者を戦慄させる決定的なカットが存在する。ガラスケースの中に薬品漬けにされた生首――それは、クラピカが幼少期に自らの未熟さゆえに視力と足の自由を奪い、一生をかけて守ると誓った無二の親友、パイロの頭部そのものだ。
ツェリードニヒのコレクションが他と一線を画しているのは、単に眼球をくり抜いた標本ではなく、「顔面・頭部そのもの」を美しく剥製加工して飾っている点にある。クルタ族の目は感情が高ぶったときに最も深く輝くため、虐殺時には親の前で子供をいたぶり、恐怖と怒りを極限まで引き出してから目を奪ったとされる。パイロの頭部が原形を留めたまま保存されている事実は、彼が絶望の極限状態で命を奪われた動かぬ証拠だ。
現在、クラピカ自身は「ツェリードニヒが緋の目を持っている」という情報までは把握しているものの、そこにパイロの頭部が含まれている事実までは直接視認していない。もしB・W1号船内でツェリードニヒと対峙し、親友の無惨な姿を目の当たりにした場合、クラピカが保ってきた冷徹な理性が一瞬で瓦解することは想像に難くない。ツェリードニヒの持つ念能力「刹那の10秒(未来予知と平行世界)」の凶悪さと相まって、精神的崩壊を突かれたクラピカが壊滅的な一撃を受ける危険性が極めて高い。