昭和から平成にかけて部活動の現場などで広く信じられていた「突き指をしたら引っ張って治す」という手法は、現代のスポーツ医学において完全に否定されています。関節周辺の組織が過伸展・断裂している状態に対し、さらに牽引力を加える行為は、損傷部位の傷口を広げ、不全骨折を完全骨折へと悪化させるリスクしかありません。
バレーボール親指突き指処置やバスケ突き指の応急処置の現場において、受傷直後のスタンダードとなっているのが突き指の初期対応RICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)です。受傷直後から15〜20分程度、氷嚢やアイスパックをタオル越しに当てて炎症反応を最小限に抑え、心臓より高い位置へ手を保つことが、その後の回復スピードを劇的に左右します。
現場取材において、多くのアスレティックトレーナーが「初期のアイシングと適切な圧迫固定を怠った選手ほど、競技復帰までの日数が2倍以上に延びる傾向がある」と証言しています。患部を温めたり、無理に動かして可動域を確かめたりする行為は出血と腫脹を助長するため、受傷当日は徹底した安静を貫く必要があります。