病態関連図を単なる医学的な機序図で終わらせず、「看護」の関連図へと昇華させるためには、患者の生活機能全般を包括的に捉える必要があります。看護過程の展開において広く用いられている心不全の看護問題とゴードンの枠組みを活用したアセスメントの視点を整理します。
心不全患者において特に影響を受けやすく、関連図で看護問題として抽出しやすい主要なパターンは以下の通りです。
- 1. 活動-運動パターン:心拍出量低下による骨格筋への酸素供給不足、肺うっ血による呼吸困難から「活動耐性低下」や「セルフケア不足」が生じます。労作時のバイタルサイン変化(脈拍上昇、血圧変動、SpO2低下)や自覚的な息切れの程度(Borgスケール等)をアセスメントします。
- 2. 栄養-代謝パターン:右心不全による消化管うっ血で胃腸の吸収能が落ち、食欲不振や早期飽満感が生じます。一方で体液貯留により短期間での急激な「体重増加(体液量過剰)」が認められるため、インアウトバランス、利尿薬投与後の尿量、浮腫の部位と程度(圧痕の深さと回復時間)を詳細に評価します。
- 3. 睡眠-休息パターン:夜間仰臥位になることで下肢から心臓への静脈還流量が増加し、肺うっ血が悪化して「夜間発作性呼吸困難」や「起坐呼吸」が生じます。睡眠中断による日中の傾眠や疲労感の蓄積を捉えます。
- 4. 認知-知覚パターン:脳血流量の低下や低酸素血症、高齢患者における環境変化によって、せん妄や認知機能の一時的な低下を来すリスクをアセスメントします。
- 5. 健康知覚-健康管理パターン:退院後の再入院予防において極めて重要な領域です。塩分制限や飲水管理、毎日の体重測定、服薬の必要性を本人がどのように理解しているか、継続を阻む生活要因(独居、調理困難、経済的課題など)がないかを抽出し、「非効果的健康管理」などの看護課題に結びつけます。
これらの生活パターンから導き出された看護問題を、病態関連図の最下部に実線または破線で症状・所見と紐付けることで、心不全の看護計画とアセスメントが一連のストーリーとして成立します。