ここで言葉としての「パキる」の歴史と変遷にも触れておきたい。実はこの表現、元々は薬物乱用だけを指す言葉ではなかった。
語源の諸説として挙げられるのは、乾いたものが折れる「パキッ」という擬音語だ。スマートフォンやゲーム機の画面、あるいはプラスチック製品が衝撃で割れる様子を「画面がパキった」と表現する使い方が、ガジェット好きやゲーマーの間で長年使われてきた。
また、エナジードリンクやカフェインの過剰摂取によって「覚醒状態」に入り、集中力が極限まで高まる状態を「集中力がパキる」と表現する若者も存在する。しかし、現在ではそうした日常的なスラングを遥かに超え、「市販薬オーバードーズによる変調状態」を指す隠語として定着してしまった。言葉の使われ方の変化自体が、社会の歪みを過敏に映し出していると言えるだろう。