彼がこれほどまでにゆで卵を愛した理由は、単に味が好きだったからだけではない。極度の貧困を経験した幼少期の体験や、プロ野球選手時代の過酷なコンディショニングが背景にあったとされる。
終戦直後の混乱期、手軽に高栄養を摂取できる卵は貴重なご馳走だった。後年、板東氏は「手軽で、塩さえあればどこでも食べられて、腹持ちが良い」とその魅力を語っている。特に固ゆでへのこだわりは徹底しており、黄身がパサパサになるまで茹で上がったものを好んだ。
新幹線移動中の「1日9個食い」は、多忙を極めた売れっ子タレント時代の効率的な栄養補給手段でもあったのだ。移動時間という隙間を縫って殻をむき、ひたすら口へ運ぶ。その滑稽とも言えるストイックさが、視聴者の印象に強く残ったのは言うまでもない。