彼女のヘアスタイルの変遷を辿ることは、日本のヘアトレンドの進化史を振り返ることと同義です。ロングヘアの清純派女優として圧倒的な人気を誇っていた彼女が、大胆なショートヘアで世間に衝撃を与えたのが2011年公開の映画『モテキ』でした。ヒロイン・松尾みゆき役で見せた丸みのあるマッシュショートは、毛先の軽やかな毛束感と無邪気な前髪が相まって「みゆきカット」として爆発的なブームを巻き起こしました。当時のインタビューでも「髪を切ったことで役へのスイッチが入り、自分の新しい側面を引き出してもらえた」と語っていた通り、従来の清純派イメージを鮮やかに更新した転換点です。
その後、ドラマ『コンフィデンスマンJP』(2018年〜)のダー子役では、軽快に動くエアリーなショートボブへとシフトしました。七変化する詐欺師というキャラクターに合わせ、耳掛けやアイロンでの外ハネなど、自在に表情を変えられる汎用性の高いスタイルを確立しています。さらに2026年の主演ドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』では、襟足を極限まで削ぎ落とし、前髪を潔く流したストイックなハンサムショートを披露しました。テレビ局の冤罪報道に挑むアナウンサー・浅川恵那の緊迫感や孤高の葛藤が、毛先のライン一つひとつから匂い立つような完成度を見せつけ、同世代の働く女性層から熱烈な共感を呼びました。
そして2026年最新の長澤まさみが見せる現在の髪型は、これまでのエッセンスを昇華させた「エフォートレス・モードショート」です。作り込みすぎない素髪のようなツヤ感と、サイドの毛流れを自然に後ろへ流すジェンダーレスなフォルムが特徴で、大人の余裕と洗練された品格を漂わせています。