いざ病院へ行こうとした際、迷いやすいのが犬に噛まれた病院何科を受診すべきかという問題です。負傷した部位、傷の深さ、および時間帯に応じて適切な診療科を選択することが早期治癒への近道となります。
傷の部位が「顔面」や「手・指」である場合は、形成外科と皮膚科の受診が基本指針となります。特に手のひらや指は神経・腱が浅い位置を通っており、感染が腱鞘に及ぶと機能障害を起こす恐れがあるため、微小外科手術や組織再建の専門知識を持つ形成外科または手外科が推奨されます。顔面の場合も、将来的な傷跡(瘢痕)を目立たなくさせる観点から形成外科が第一選択です。
一方、胴体や足の浅い傷であれば一般外科や皮膚科で対応可能です。ただし、すでに発熱や悪寒、吐き気などの全身症状が出ている場合や夜間・休日の場合は、迷わず救急科または総合内科を受診してください。医療機関では、傷口のデブリードマン(汚染組織の除去・洗浄)が行われ、重症度に応じて抗生物質の点滴と内服(アモキシシリン・クラブラン酸配合剤など)が投与されます。
⚠️ 直ちに受診すべき危険なサイン(受診の目安と判断基準)- 受傷後数時間でズキズキとした激痛が強まっている
- 傷口の周りの赤みや熱感が2cm以上に広がってきた
- 傷口から膿(うみ)や異臭のある浸出液が出ている
- 指先や患部に痺れ(しびれ)、動かしにくさがある
- 発熱、寒気、全身のだるさ、リンパ節の腫れが出現した
- 破傷風ワクチンの接種歴が不明、または最後の接種から10年以上経過している
また、法的な手続きとして保健所への咬傷事故届の提出義務も忘れてはなりません。狂犬病予防法および各都道府県の動物愛護管理条例に基づき、飼い犬が人を噛んだ場合、飼い主は24時間〜48時間以内に届出を行い、狂犬病の有無を確認するための獣医師検診を受けさせる義務があります。被害者側であっても、相手の連絡先、狂犬病予防接種証明書の有無、犬の健康状態を必ず確認し、必要に応じて最寄りの保健所へ相談してください。