おでんの主要具材を直撃しているのが、深刻な原材料費の高騰です。なかでも、ちくわやはんぺん、さつま揚げといった練り製品の主原料となるスケトウダラなどの魚肉すり身は、世界的な水産需要の拡大と円安の長期化によって国際調達価格が高止まりを続けています。かつては安価なたんぱく源だった練り物ですが、メーカー側も度重なる内容量の調整や出荷価格の引き上げを余儀なくされています。
さらに、鳥インフルエンザの流行や飼料代の上昇に伴う鶏卵価格の乱高下も、おでんの原価を押し上げる決定打となりました。おでんの主役具材であるゆで卵は、仕入れ値の上昇がダイレクトに1個あたりの価格に跳ね返ります。
具材だけでなく、味の決め手となる「つゆ(出汁)」のコストも見逃せません。気候変動による海水温上昇などの影響で国産昆布の収穫量が大幅に減少しており、かつお節や煮干し、醤油、みりんといった基本調味料の価格も軒並み上昇しています。おでんは「具材そのものの原価」と「煮込むだしの原価」が同時に跳ね上がった、極めて稀な料理と言えます。