当神社の御祭神は、火の主宰神である火之迦具土神だ。火が持つ強大な破壊力と、文明を育む温もりの双方を司る神として、古来より人々のおそれと敬いの対象であり続けてきた。江戸時代には「秋葉講」と呼ばれる参拝組合が全国津々浦々に結成され、庶民の憧れの旅先となった歴史を持つ。
戦国から平和な時代への過渡期を駆け抜けた天下人、徳川家康もまた、この神社を深く信奉した一人だ。戦乱の火難を避け、領国の安寧を祈願した家康公の足跡は、今も境内の各所に色濃く残る。大河ドラマ『どうする家康』の放映を経て、その歴史的背景に想いを馳せながら境内を散策する参拝客が後を絶たない。