従来の「長征2号」「長征3号」シリーズでは、非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素という極めて毒性の高い推進剤が長年使用されてきた。これらは常温保存が可能である一方、取り扱い時の危険性が高く、打ち上げ後の段落下地域における環境汚染が長年の懸念事項だった。これに対し、長征7号Aの1段目およびブースターには、自国開発の120トン級液酸ケロシンエンジン「YF-100」が採用されている。
さらに、3段目には極低温の液体酸素・液体水素エンジン「YF-75D」を組み合わせ、高い比推力(燃焼効率)を確保した。これにより、推進剤の燃焼生成物は水と二酸化炭素のみとなり、環境保護と発射作業員の安全性が飛躍的に高まった。高出力かつ環境適合性の高い推進系への完全シフトは、中国の宇宙開発が新たな技術的成熟期に入ったことを裏付けている。