立花みかんの高校生活を語るうえで外せないのが、同じ高校の同級生である岩木くんの存在です。爽やかで裏表がなく、誰に対しても分け隔てなく接する岩木くんに対し、みかんは完全に一目惚れ状態。普段はお母さんに対して感情豊かに怒ったり笑ったりするみかんが、岩木くんの前に出ると極度の緊張から顔を真っ赤にし、奇妙な挙動を繰り返してしまう姿は、多くの読者の共感を呼んできました。
ファンの間で注目される「みかんから岩木くんへの告白はあったのか?」という疑問ですが、作中において決定的な告白シーンや恋人同士(彼氏・彼女)になる明確な描写は描かれていません。しかし、ふたりの距離は物語が進むにつれて確実に変化しています。雨の日に傘を貸し借りするエピソードや、電車内で偶然乗り合わせて言葉を交わす場面、さらにはみかんが髪型を変えた際に岩木くんが自然に気づいて褒めるシーンなど、甘酸っぱい心の機微が丁寧に積み重ねられました。
劇的なドラマチック展開で関係を結論づけるのではなく、日常の些細なやり取りの中で少しずつ自意識の壁を乗り越えていく過程こそが、けらえいこ氏の描くリアリズムの真髄といえます。