作者の森川ジョージ氏が手掛ける『はじめの一歩』は、連載開始から30年以上が経過した現在もなお、漫画業界の第一線で圧倒的な支持を集め続けている。単なるスポ根漫画の枠を超え、選手の人間ドラマや家族愛、挫折と再生を重厚に描き出す手法は、後進の漫画家たちにも多大な影響を与えた。
特にヒロイン像としての久美の描写は、単に主人公を応援するだけの存在ではなく、闘いに対するアンチテーゼとしての視点を作品に与えている。スポーツ漫画というジャンルにおいて、彼女の存在はリアリティとドラマ性を重層化させる不可欠なパーツとして機能しているのだ。