一方で、理容の歴史を振り返ると、床屋とは本来「空間と時間そのものを味わう場所」でもあった。ジョニー・デップ主演の映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』で描かれたような、鋭利なカミソリを振るう職人の姿は、ヨーロッパから日本へと受け継がれてきた理容師のプライドを象徴している。
特に、蒸しタオルで肌を温めてから行われるシェービング・顔そり技術は、美容室にはない理容店ならではの伝統的スキルだ。近年注目を集めるメンズグルーミングの文脈においても、この顔そりや角質ケアの爽快感を求めてフルサービスの理容店を訪れる愛好家は根強い。低価格特化型と伝統重視型という双璧の存在が、現代の髪型文化を支えている。