わかさ生活が深刻な経営難に直面した最大の要因として挙げられるのが、2009年に創設された「日本女子プロ野球リーグ(JWBL)」の運営です。創業社長である角谷建耀知(かくたに・けんいち)氏の「女子野球選手が夢を追い続けられる舞台を作りたい」という純粋な情熱からスタートしたプロジェクトでした。
しかし、興行としての自立は極めて険しい道のりでした。他社からの大口スポンサー獲得が難航する中、球団運営費、遠征費、選手への給与支給など、リーグ運営にかかる莫大なコストのほぼ全額をわかさ生活が単独で負担し続けたのです。その支援額は年間十数億円、累計では100億円以上に達したと推計されています。
女子野球事業における構造的な赤字は、サプリメント通販で稼ぎ出した利益を呑み込み続けました。さらに後述する本業の売上減速が重なり、企業存続のために女子野球からの撤退理由を明確にせざるを得ない局面が訪れます。2019年の新規加盟募集停止や所属選手の大量退団を経て、2026年、同社は苦渋の決断としてリーグ運営からの完全撤退を発表しました。