1998年に火がついた大ヒット作『踊る大捜査線 THE MOVIE』の登場は、それまでの邦画興行の常識を根底から覆した。本広克行監督が構築した映像美とテンポ感は、テレビ画面を飛び出し、大スクリーンの圧倒的な迫力となって観客を魅了した。フジテレビジョンが強力に推進したテレビから劇場版への大仕掛けは、まさに一大ムーブメントとなった。
本作が画期的だったのは、事件を追うアクションにとどまらず、警視庁本庁のキャリア組と所轄署の現場警察官との間に横たわる組織構造の歪みを浮き彫りにした点だ。従来の刑事ドラマに見られた勧善懲悪のパターンを打ち破り、緻密な警察サスペンスとしての面白さを日本映画界にしっかりと定着させた功績は計り知れない。