事件の引き金となったのは、ある1本の人気アクションゲームだ。ドイツの自宅部屋で撮影された動画の中で、彼がPC画面上で起動しようと焦燥していたのは、Epic Gamesが開発した名作FPS『アンリアル・トーナメント』だった。なかなかゲームが起動しない焦燥感、そしてライバルに倒されたときの過剰なリアクション。少年ノーマンは、当時のオンラインゲーマーたちが抱く感情を極限まで誇張してみせた。
彼の手元にあったキーボードは、怒りのボルテージが頂点に達すると同時にデスクへ叩きつけられ、キーが飛散した。そのあまりにも迫真に満ちた迫力は、視聴者に「演技」であることを看破させないほどのリアリティを持っていた。日常の小さなストレスを極限のパフォーマンスへと昇華させた才能。それこそが、世界を騙し切った最大の要因だったと言える。