取引先へ交付するインボイス制度対応領収書を作成する際、従来の領収書用紙をそのまま流用している現場では重大な記載漏れが多発しています。国税庁が公表するガイドラインおよび弥生株式会社やマネーフォワードなどの大手クラウド会計各社の実務指針に基づき、満たすべき必須項目を整理した手書き領収書の書き方見本の構成要素は以下の通りです。
手書きの市販領収書(複写式)を使用する場合、以下の8項目が完全に網羅されているかを確認しなければなりません。
【適格請求書(領収書)の必須記載項目】
① 領収書の発行日:取引および金銭授受が実際に行われた年月日(西暦・和暦いずれも可だが略記は避ける)
② 宛名(受取人の氏名または名称):株式会社等の法人格を略さず、正式名称を記載(「上様」は原則不可)
③ 領収金額:改ざん防止措置(頭に「¥」や「金」、末尾に「-」や「※」を付記し、3桁ごとにカンマを入れる)
④ 但し書き(取引内容):何に対する対価であるかを具体的に記載(例:「〇〇研修参加費として」「〇〇用事務用品代として」)
⑤ 税率ごとの内訳表記:10%対象金額と消費税額、8%(軽減税率)対象金額と消費税額をそれぞれ明記
⑥ 発行者の氏名または名称および住所:個人事業主の場合は屋号だけでなく本名、または登録された屋号と所在地
⑦ 適格請求書発行事業者の登録番号:国税庁から交付された「T+数字13桁」の番号
⑧ 収入印紙:税抜金額が5万円以上の場合に貼付し、消印(割印)を押印(キャッシュレス決済時は免除条件あり)
市販の旧型伝票には登録番号の書き方の専用枠や消費税の内訳枠が存在しない場合があります。その際は、ゴム印を作成して余白に押印するか、手書きで「登録番号:T1234567890123」と正確に追記すれば適格請求書として有効に機能します。枠がないからといって記載を怠ると、受け取った側の取引先が仕入税額控除を適用できず、取引トラブルへ発展するリスクがあります。
なお、小売業、飲食店業、タクシー業、写真業、旅行業、駐車場業など、不特定多数の顧客を相手にする業種に限り、通常の適格請求書に代えて適格簡易請求書(簡易インボイス)の記載事項を満たしたレシート形式の交付が認められています。簡易インボイスでは「交付を受ける事業者の氏名・名称(宛名)」の記載を省略できますが、「税率ごとに区分した消費税額」または「適用税率」のいずれかの記載は引き続き必須です。