広島の高校野球といえば、長年にわたり私立の強豪校が絶対的な王国を築いてきた。身体能力に長けた選手たちが毎日朝から晩までバットを振り込み、完成された組織力で圧倒する。そこに風穴を開けたのが、市立福山の「徹底した数値化」だった。
彼らは練習時間の短さを補うため、市販のトラッキングセンサーや映像分析アプリをフル活用した。投手の球回転数や変化球の軌道、打者のスイングスピードとインパクト時の角度を可視化。相手チームの配球パターンをアルゴリズム並みに分析し、打席ごとの狙い球を絞り込んだ。「感覚」を排し、「根拠」を持ってグラウンドに立つ。この徹底したアプローチが、土壇場での勝負強さを生んだのだ。