兵庫県庁を揺るがした一連の文書問題や失職劇を経て行われた同知事選は、当初からメディアの注目の的だった。テレビや新聞などのマスメディアが厳しい視線を送る中、斎藤元彦陣営が選択したのが「SNSを通じた直接対話」の最大化だ。主要メディアの報道姿勢に対し、ネット空間では「伝えられていない真実がある」という対抗言説が急速に形成されていく。
その中心で情報空間の設計を主導したのが広報チームだった。現場の街頭演説の熱気をリアルタイムで切り取り、X (旧Twitter)やショート動画で即座に投下。有権者は単なる傍観者ではなく、「真実を拡散する当事者」としての物語へと引き込まれていった。動画の画角、テロップのフォント、色彩設計に至るまで徹底されたビジュアルコントロールは、従来のアナログな政治選挙とは一線を画す精巧さを誇った。