紅白歌合戦における松田聖子の名場面として、いまなお音楽ファンの心に深く刻まれているのが「ライバルとの競演」と「娘との絆」です。
1980年代、歌謡界の二大巨頭として常に比較され、時代を二分したのが中森明菜との関係性でした。メディアは「宿命のライバル」「不仲説」を煽り立てましたが、紅白の舞台裏やステージ上での二人は、互いの卓越した才能を認め合う戦友そのものでした。1980年代半ばの紅白では、松田聖子が可憐で完璧な王道ポップスを披露すれば、中森明菜が情熱的かつ前衛的なパフォーマンスで応戦するという、奇跡のような緊張感と華やかさが日本中のお茶の間を熱狂させました。
また、2011年(第62回)の神田沙也加さんとの親子共演は、紅白史に残る感動の名シーンです。東日本大震災の復興支援企画として、アメリカ・ニューヨークからの生中継などを交えつつ、名曲「上を向いて歩こう」を二人でデュエット。母として娘の成長を誇らしげに見つめる聖子の優しい眼差しと、確かな歌唱力で応える沙也加さんの姿に、多くの視聴者が涙しました。この瞬間は、単なるアイドルの枠を超え、親子の深い絆が音楽を通じて昇華された歴史的瞬間でした。