アラブ首長国連邦(UAE)をはじめとする中東地域において、こうした過酷な現実を描いた作品が脚光を浴びることには、単なるエンターテインメントを超えた社会的意味が存在する。目覚ましい経済成長を推進する一方で、労働環境の適正化や人権の尊重は、現代の国際社会において極めて重要なテーマとなっているからだ。
ドバイ政府観光・商工局などは近年、観光誘致や文化振興と並び、グローバルな映画産業のロケーション撮影や映像制作の誘致に注力してきた。そうした中で本作が投げかけた波紋は、中東の映画産業やメディア環境が多角的な視点から世界の映画ファンと対話する新たな機会を作り出している。光り輝く都市の影にある現実と誠実に向き合う姿勢が、これからの地域ブランディングにおいて問われている。