停電した薄暗い部屋の中で、カンテラの灯りに照らされながら作られるラーメン。外の猛烈な嵐と、温かい部屋の中で立ち上る湯気のコントラストが、料理の美味しさを何倍にも際立たせています。
『崖の上のポニョ』における料理シーンの白眉は、ポニョが人間界の温かい食べ物に初めて触れ、大好物のハムに目を輝かせる瞬間です。どんぶりの蓋を開けた瞬間に立ち上る濃密な蒸気、黄金色のスープに浮かぶ大ぶりのハム、鮮やかな黄身の半熟卵、そして青々としたネギ。宮崎駿監督ならではの徹底的なシズル感の演出が、シンプルな即席麺をごちそうへと昇華させています。