慶應義塾大学環境情報学部(SFC)出身という経歴を持つ岩本乃蒼が、なぜ30代を迎えて再び学問の道へ舵を切ったのか。その背景には、日本テレビでのアナウンサー経歴を通じて抱いた深い葛藤と危機感がありました。
彼女は学生時代に『ZIP!』のお天気キャスターを務め、2014年に日本テレビ入社後は『news zero』や情報番組で数多くの災害現場を取材してきました。当時の手記や同僚への吐露によると、現場で命の危険に直面する被災者の姿を目の当たりにする中で、「自分は原稿を読み上げるだけで、本当に命を救う報道ができているのか」という無力感に苛まれていたといいます。
異常気象が日常化する社会において、表層的な速報にとどまらず、「なぜ災害が起き、どう伝えれば人々が自発的に避難行動を起こすのか」を科学的・社会工学的に解明したいという強い信念が、京都大学大学院への進学を決断させた最大の引き金でした。