三沢光晴のプロレスを象徴する武器が、幾多のバリエーションを誇る三沢光晴のエルボーです。ワンハンド・エルボースマッシュ、ローリング・エルボー、ランニング・エルボーなど、局面に応じて正確無比に相手の急所を捉えるエルボーは、一撃で試合の流れを変える破壊力と説得力を備えていました。
さらに、ここ一番の大勝負でのみ解禁された奥の手「エメラルド・フロウジョン」や、垂直落下で頭部から落とす「タイガードライバー'91」は、観客を戦慄させると同時に、技を受ける側の絶対的な受け身の技術を前提とした究極のプロレス技でした。
三沢の真骨頂は攻撃力だけでなく、「究極の受け身」にありました。相手の得意技をすべて受け切った上で最後に立ち上がる――。この王道の美学を共有していたのが、川田利明、小橋建太、そして田上明を加えた「プロレス四天王」のライバルたちです。彼らは互いの肉体とプライドを削り合いながら、技の難度と危険度を限界まで引き上げていきました。その超人的なタフネスとドラマ性は、プロレス界の至宝として観客の魂を揺さぶり続けたのです。