時計の針を数年前に戻そう。パンデミックの暗雲が世界を覆っていた頃、アンジェスが打ち出した「DNAワクチン開発」の構想は、日本中の期待を一身に集めた。連日のようにメディアに取り上げられ、政財界からの追い風も受けて株価は跳ね上がった。個人投資家は未来の夢を買い、市場は文字通り狂乱の渦にあった。
だが、創薬ビジネスの壁はあまりにも高かった。治験の難航、有効性の証明における壁、さらには海外製ワクチンの圧倒的なスピード感。期待が大きかった分、失速した際の衝撃は計り知れない。2026年の視点から検証すれば、あの急落劇は日本の創薬ベンチャーが抱える構造的課題を白日のもとに晒した瞬間だった。