『ちいかわ』の絵柄だけを追えば、幼少期向けの愛らしいキャラクターコンテンツだと誤解するかもしれない。しかし、その世界観の根底に流れているのは恐ろしいほどの現実主義だ。主人公たちは、日々の食費や生活費を稼ぐために草むしりや「討伐」という危険な労働に従事している。働かなければ生きていけない。この厳しい現実が、ポップな絵柄で容赦なく突きつけられる。
とりわけ読者の胸を抉るのが「資格試験」を巡るドラマだ。報酬アップにつながる草むしり検定において、努力家のハチワレが合格する一方、主人公のちいかわは落ち続ける。合格発表の瞬間の静寂、そして親友の合格を必死に祝福しようとするちいかわの涙。あの描写に言葉を失った大人は数知れない。安易な成功体験を与えない残酷な描写こそが、作品への圧倒的なリアリティと信頼を生んでいる。