室内の温かい状態で食べる料理と、外気の中で食べるお弁当とでは、舌の味覚センサーの働きが大きく異なる。冷めると脂分が固まり、塩分を感じにくくなるため、普段と同じ味付けで作ると「なんとなく味がボヤけて物足りない」という印象を与えてしまう。
プロの料理人が実践するのは、冷めてもボヤけない「隠し酸味」と「スパイスの輪郭」だ。唐揚げの下味にはレモン汁とニンニクを少し効かせ、卵焼きにはほんのり出汁の塩気を強める。さらに、粒マスタードや黒胡椒といったアクセントを効かせることで、冷めても一口ごとにハッとするようなメリハリのある味わいが完成する。