私たちが普段「のどごしが良い」あるいは「硬くてクセがある」と感じる感触の正体は何か。水の分類を決める基本的な指標である硬度 (水)は、水中に溶け込んでいる金属イオンの量を表す。具体的にこの硬度を決定づけるのが、まさにカルシウム・マグネシウム含有量だ。
水質科学の専門家によると、地質構造や地下水の滞留時間によってこの数値は激変するという。火山列島である日本は花崗岩やマグマ性の地質が多く、雨水が地下にとどまる時間が短いため、ミネラルがほとんど溶け出さない。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、一般に硬度120mg/L未満を軟水、120mg/L以上を硬水と定義する。これに対して、日本の厚生労働省が示すおいしい水の要件などでは、より厳密に硬度100mg/L以下を理想的な軟水として扱う場面も多い。対照的に、広大な石灰岩台地が広がる欧州大陸では、雨水が長い年月をかけて浸透するため、強烈なミネラル分を含んだ硬水が主成分となる。
近代農化学の父であり栄養学の基礎を打ち立てたユストゥス・フォン・リービッヒの時代から、無機ミネラルが人体と植物に及ぼす生理作用の研究は重ねられてきた。現代の栄養学においても、水から摂取される微量ミネラルの生体利用効率は非常に高いと評価されている。