近年の台風災害で最も警戒すべきは、暴風そのものよりも、台風の周囲や前線に向かって流れ込む湿った空気によって形成される「線状降水帯」との複合作用だ。
台風の東側に位置する地域では、南からの強烈な暖湿流が絶え間なく流入し、同一の地域に何時間も猛烈な雨を降らせ続ける。これが都市部の河川氾濫や内水氾濫を急発させ、地下街や地下鉄駅舎への濁流流入という致命的な事態を引き起こす。
高層ビル群が立ち並ぶ都心部では、ビル風と台風本来の暴風が合流し、局地的な竜巻状の発達風が発生するリスクも指摘されている。ガラス破片の飛散や看板の飛来など、街全体が凶器と化す時間帯が存在することを、都市の生活者は再認識しなければならない。